「ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている」という岡田斗司夫さんの『評価経済社会』を読みました。
今、私たちは、農業革命・産業革命につぐ情報革命という巨大なパラダイムシフト(時代の変わり目)にいます。人類史上3回目の大変化の真っ只中です。
ここで言う「パラダイム」とは、「社会を構成している基本的価値観」のことです。
現在、起こっているパラダイムシフトは、一体どんなものなのか、頭の中を整理しながら、出来るだけわかりやすく内容を紹介してみたいと思います。
なぜ、貨幣経済世界から評価経済社会へ変わっていると言えるのか?
現在、いわゆる大人と若者たちとの価値観のギャップが大きくなっているのは、みんな感じていると思います。
今までは、今時の若いもんは・・と言って、たしなめられてきたことが、今、若者たちの言っていることの方が時代にあっていることを社会が認めざるを得ない状況になっているのです。
例えば、twitterのフォロワーが100万人いる人なら1億円稼ぐのも難しくありませんが、1億円持っていてもtwitterのフォロワーを100万人集めるのは難しい。
お金の力が絶対であった時代は、終わったと言わざるを得ません。たとえお金を持っていなくても、高い評価を受ける人が影響力があるという時代に切り替わったのです。
その理由は、豊かになることが幸福であると思えないからです。
いつ世界は評価経済社会に変わるのか?
貨幣経済社会が、評価経済社会に移り変わるのが、いつからかというと、高度経済成長時代に既に始まっているようです。
確かに、1970年代当時、若者だった私たち(現在60歳くらい)は、「成長への否定」を始めていました。
頑張れ頑張れと言われてきましたが、無理してきたと実感しています。そして、その後の公害問題なども重く心にのしかかりました。
バブルの頃の熱狂もありましたが、一時的なものであり、愚かだったと反省もしています。
その頃から「団塊の世代の人たち」が、がむしゃらさに働くのを引いて見ている世代でした。
だから、今の若者たちの冷静さは理解できます。
私と同世代の著者は、この本が書かれた2011年の30年後、つまり2040年ごろには、今の若者の価値観が時代の価値観になっているだろうと予測しています。
今年2019年なので、あと20年後には、すっかり貨幣経済社会は消滅し、がむしゃらに働きたがるのは年寄りだけ、医者の言うことを素直に聞くのは年寄りだけ、テレビを見るのは年寄りだけという時代を迎えるというのです。
確かにそうなりつつあると思います。
貨幣経済社会から評価経済社会に変わると何が違うのか?
今、起こっているパラダイムは、「モノ不足」、つまり「資源・土地・環境に対する有限感」から成り立っています。
いかにモノを使わないか、いかにモノを作らないか、が重要な社会とも言えます。
そこでは、土日も働くお父さんはみっともない存在です。
働きすぎることは資源を浪費し、環境を破壊する悪徳なのです。仕事のために、もっとも希少である「自分の時間」を使う行為です。
今や日曜も祝日もなく働く人とは「働き者」でなく、「こき使われている弱者」なのです。
ただお金のために働きまくるのは、自分を大事にしないことになります。
評価経済社会に変わると世界はどうなるのか?
貨幣経済社会では、他人をその人の持っている「モノ」で測りました。家や車、貯金額などです。
評価経済社会では、他人をどんな価値観をや世界観を選んでいるかで測ります。教育熱心さやペット愛、無農薬野菜へのこだわりなどなど。
同じ価値観を持つ者同士がグループを作り、それぞれ価値観を共有します。そして、個人の中で複数の価値観を共存させ、コーディネートして、複数のグループに所属することになります。
そういう親に育てられた子どもは、さらに、自分の時間を自分の気持ちに合わせて、絶妙のタイミングでコーディネートできるようになっていきます。
これからの評価経済社会で幸せに生きていくためには
これからの評価経済社会で幸せに生きていくためには、「自分の意見・自分らしさ」という一つの色でなく、場面に応じ、軽やかに色を変える能力が大切です。
様々な価値観が溢れる中で、自分の気分や状況、立場、好み等々によって、いくつかの価値観を選択します。
そして、同じ価値観のグループに参加し、全体として、自分の感性と合うように、その価値観の種類や深さや時間をコーディネートして使い分けることが大事なのです。
さいごに
これからどうなっていくのだろうと30年後の未来を予測する時、今の若者が何を考えているかを見ていけばよいのです。
30年後の価値観は、今の若い世代の価値観に芽生えているはずだから。
2011年に書かれたこの本の中では、その具体的な姿を読み取れませんでした。でも、現在のキングコング西野のオンラインサロンの成功などがその象徴ではないかと考えられます。
西野がテレビに出なくなった時、「西野、終わったな」と皮肉った人たちは時代の流れを全然つかめていなかったのです。
今や、世の中を動かすのは、お金ではなくその人個人の評価なのだという現実をしっかり受け止めていきたいものです。
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